pubDate: 2024-03-19
author: sakakibara
集合
集合は数学の基礎概念にして、数学の基本的な対象である。
集合論には素朴集合論と公理的集合論があるが、ここでは素朴集合論を前提とする。
集合には、共通部分、和集合、差集合、補集合などの基本的でかつ直感的な演算が定義されるが、ここからつくられる世界は実に多様である。
中には非自明な命題を導くことができ、その深さを知ることは数学の醍醐味である。
集合演算
集合A,B,C間の演算∩,∪に対して以下が成り立つ。
proposition: (交換法則)
A∩B=B∩AA∪B=B∪A
proposition: (結合法則)
(A∩B)∩C=B∩(A∩C)(A∪B)∪C=B∪(A∩C)
proposition: (分配法則)
A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)
proposition: (ド・モルガンの法則)
X−(A∪B)=(X−A)∩(X−B)X−(A∩B)=(X−A)∪(X−B)
集合A,B,C,D間の⊂に対して以下が成り立つ。
proposition: (包含関係)
A⊂C, B⊂C⟹A∪B⊂CD⊂A, D⊂B⟹D⊂A∩B
proposition: (包含関係と和集合と共通部分)
A⊂A∪BA∩B⊂A
こんな単純な演算から様々な場所に顔を出すいくつもの法則、—交換法則、結合法則、分配法則—がでてくるのは不思議、というか集合を基盤としているのだということを強く感じさせる。
写像演算
写像f:X→Y, g:Y→Z, h:Z→Wについて
proposition: (結合法則)
h∘(g∘f)=(h∘g)∘f
proposition: (8つの命題)
f:A→BとA1,A2⊂AとB1,B2⊂Bに対して
f(A1∪A2)f(A1∩A2)f−1(B1∪B2)f−1(B1∩B2)A1f(f−1(B1))f(A1)−f(A2)f−1(B1)−f−1(B2)=f(A1)∪f(A2)⊂f(A1)∩f(A2)=f−1(B1)∪f−1(B2)=f−1(B1)∩f−1(B2)⊂f−1(f(A1))⊂B1⊂f(A1−A2)⊂f−1(B1−B2)