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pubDate: 2024-03-19

author: sakakibara

情報幾何学

多様体

統計

2点間のDivergence

多様体MM上の22P,QMP, Q \in Mについて考える。それぞれ局所座標系ξP\bm{\xi}_ P, ξQ\bm{\xi}_ Qが備え付けられているとする。 DivergenceD[P:Q]D[P : Q]は以下を充たすξP,ξQ\bm{\xi}_ P, \bm{\xi}_ Qの関数である。 ただし、ξP,ξQ\bm{\xi}_ P, \bm{\xi}_ Qは微分可能であるとし、 D[P:Q]=D[ξP:ξQ]D[P : Q] = D[\bm{\xi}_ P : \bm{\xi}_ Q] のように書く。

def :
以下を充たす関数D[P,Q]D[P, Q]PPからOOへのDivergenceと呼ぶ。

(半正定値性)D[P:Q]0(非退化性)D[P:Q]=0,    P=Q\begin{array}{ll} \text{(半正定値性)} & D[P : Q] \geq 0 \\ \text{(非退化性)} & D[P : Q] = 0, \implies P = Q \\ \end{array}

P,QP, Qが十分近いならばそれぞれの局所座標系はξP\bm{\xi}_ Pを用いて、 ξQ=ξP+dξ\bm{\xi}_ Q = \bm{\xi}_ P + \mathrm{d}\bm{\xi}のように表現でき、 DDのテーラー展開が以下のように表現できる

D[ξP:ξP+dξ]=12gij(ξP)dξidξj+O(dξ3)\begin{aligned} & D[\bm{\xi}_ P : \bm{\xi}_ P + \mathrm{d}\bm{\xi}] = \frac{1}{2}\sum g_{ij}(\bm{\xi}_ P)\mathrm{d}\xi_i\mathrm{d}\xi_j + \mathcal{O}(\mathrm{d}\xi^3) \\ \end{aligned}

さらに、G=(gij)ξP\bm{\mathrm{G}}=(g_{ij})\text{が}\bm{\xi}_ Pにおいて正定値である

Divergenceは22PP, QQがどれだけ離れているかを表しているが、一般の距離, 例えば22-ノルムとは異なる。 Divergenceは必ずしも対称である必要がない。つまり、一般には

(非対象性)D[P:Q]D[Q:P]\begin{array}{ll} \text{(非対象性)} & D[P : Q] \neq D[Q : P] \end{array}

である。 また、三角不等式も満たさない。

comment:
Divergenceは疑距離の一種であり、特に対称性がないため距離の公理を満たさない。 というのもDivergenceは11ξP\bm{\xi}_ Pにおける計量を使用しているからだ。 また、D[P:Q]0D[P : Q] \ge 0であるためにG=(gij)\bm{\mathrm{G}} = (g_{ij})は正定値である必要がある。

P,QP, Qが十分近いならば、微小距離の22乗を以下のように表現できる。

ds2=2D[ξ:ξ+dξ]=gij(ξ)dξidξj\mathrm{d}s^2 = 2D[\bm{\xi} : \bm{\xi} + \mathrm{d}\bm{\xi}] = \sum g_{ij}(\bm{\xi})\mathrm{d}\xi_i\mathrm{d}\xi_j

多様体MM上で定義されるG(ξ)\bm{\mathrm{G}}(\bm{\xi})が正定値であり、かつ、22点間の微小距離の22乗が上の式で定義されるとき、多様体MMをリーマン多様体と呼ぶ。 DivergenceDDの導入により多様体MMにリーマン多様体となる。