pubDate: 2024-05-07
author: sakakibara
少し前まで、なぜ、自分の給料は低いのかについて考えていた。
能力が低いから?自分より能力が低くても給料が高い人がいる。
逆に自分より優れた仕事をしているが、大した給料をもらっていない人もいる。
一生懸命働いていないからか?いや、かなり頑張ってきたと思っている。
上司が悪いからか?人事部が悪いからか?
いや、そもそも誰だって一生懸命やってきている。
思うに、多くの人は人に優しく、仕事に真面目で、一生懸命働いている。
なぜ、自分の給料は低いのか。
多くの場合、給料はその人がどれだけ能力があり、一生懸命仕事しているかには関係ない。
会社には新卒の初任給が決まっている。自分より10倍能力がある人がいても、10倍の給料をもらっているわけではない。
そして、この初任給はその会社の人が決めると思いがちだが、実際にはこれも違う。
多くの会社では自社と似たような隣の会社がどれだけの初任給を出しているかを調べ、それに合わせて初任給を決めている。
つまり、初任給は市場で決まる。
会社に入る人は給料が低いと感じれば他の会社に行くし、会社は人がそれほどいらないなら低い給料で少人数しか人を雇わない。
そもそも人が物の価格を決めることなどできない。 常に隣の人の顔を伺いながら、それに合わせて物の価格を決めている。
あらゆる物の値段は需要と供給のみによって決まる。
あらゆる商品やサービスには値段がついている。 株価から、マンションやアパートの家賃、野菜や肉の値段、 ゲームやスマートフォンの値段などなど。 もちろん、人間の労働力にも値段がついている。 これらの値段を総じて物価と呼ぶ。
theorem :
金利が上昇すると、物価が下落する。
金利が下落すると、物価が上昇する。
よく知られた事実だが、このように言われるには理屈がある。
つまり、金利が上昇すると、借金を返済する際の利子を多く払わなければならず、
企業は借金をするのを控えるため、投資が抑制され、物価が下落する。
実際に借金を控えるだけでなく、将来的に借金をすることが難しいと感じた時点で企業は投資を控える。
そしてこれは経済を構成する多くの企業で同時に起こるため、物価が下落する。
興味深いのはこの現象は企業が一歩も動いていないのに起こることである。 つまり、金利の上昇に関する情報だけが原動力となっていることである。
また、この逆も成り立つ。
金利が下落すると、借金を返済する際の利子が少なくなるため、企業は借金をしやすくなり、
投資が増加する。
実際に借金をするだけでなく、将来的に借金をすることが容易であると感じた時点で企業は投資を増加させる。
そしてこれは経済を構成する多くの企業で同時に起こるため、物価が下落する。
気をつけなければならないのは、金利だけが物価に影響を与えるわけではないということである。 金利は物価に影響を与える第一要因であるが、それが全てではない。 また、金利というのは中央銀行が定める値であり、市場が決定するわけではない。
何が物価(多くの場合株価)に影響を与えるかは、多くの人は経済指標を見ることで予測している。 以降では株価を予測するために多くの経済指標について説明する。
1ドル160円に到達した。巷では円安ドル高と騒がれている。 円安・ドル高とは、円が安くなり、かつ、ドルが高くなることを指す。
円が安いって何?
1ドル150円は、1ドルで150円を買えることを意味する。
1ドル160円は、1ドルで160円を買えることを意味する。
150円/ドルから160円/ドルになると、同じ1ドルで10円多く買えることになる。同じ1ドルでも円がお安く買えた。
つまり円/ドルが増加すると、円が安くなる。
考えやすいのが自分の頭の中の基軸通貨をドルにすることだ。
(なぜドル円っていうの?円/ドルって言えばいいのに。)
この価格は、外国為替市場で決定される。
円安・ドル高になるとどうなるか。 日本視点で考えると、日本国内で安く物を作って、アメリカに売るとドルが手に入る。 ドルを円換算すると、150円/ドルの時よりも160円/ドルの時の方が円が多く手に入る。 平たく言えば、輸出関連企業が儲かる。 最近トヨタが過去最高利益を出したのはこの要因が強い。
アメリカ視点で考えると、アメリカ国内で作った物が日本では高くて売れなくなる。 このまま放置しておくとアメリカ国内での輸入に頼っている産業が衰退するので通常は関税をかける。
theorem :
日本は製造業が主力産業(GDPの2割を占める。 特に車産業が強く、10人に一人が車産業に関わっていると言われている。)であるため、円安・ドル高は日本経済にとってプラスに働くことが多い。 逆に、アメリカはサービス業が主力産業(GDPの5割を占める。人口の85%がサービス業)であり、もともと輸入が少ないため、円安・ドル高はアメリカ経済にとってそれほど影響力は無いと思われる(俺予想)。
このように一口に円安・ドル高と言っても、それぞれの国の産業構造によって影響は異なる。
消費税とは商品やサービスにかかわらず一律の税率を課される税金である。 各商品の間でも消費税が課されるためサプライチェーンが長い企業の製品ほど指数関数的に消費税の影響をうけやすい。 この場合、需要の増加による物価の上昇ではないため、消費税の影響を受けた企業の製品はただ単純に高くなるだけである。 製品がただ高くなっただけでは、企業・家計どちらも消費が減るため、企業の売り上げが減少する。 これを回避するために、企業は製造過程の見直しや、効率化を行う…などの対策を行う。 だが、実際には限度がある。 つまり、製造過程の見直しや効率化が限界に達すると、企業は製品の品質を下げ、製品の価格を上げ、従業員の給料を下げ、従業員を削減する。国外のもっと労働力が安い国に生産技術を移す。
そういえばカントリーマームってあんなに小さかったけ?
たしかに額面の価格は上昇しているように見える。
しかし、従業員の立場から見ると、同じ労働に対する給料が下がっているため、労働の価格は下がっている。
そして消費の伸びが減り、企業も売上が減り、さらに従業員の給料を下げる。
(実際に給料を下げているところは少ない。多くは労働量を増やすことで労働の価格を下げている。労働量は増えているが働き方改革により従業員の労働時間は減少している。また、少子高齢化により労働力そのものが減少している。現在、このしわ寄せは働き方改革の対象外の管理職に波及している。そしてその部下はそんな管理職を見て、自分は管理職になりたくないと思っているが、年代的に管理職にならざるを得ない。そして現在、転職活動が活発化している。)
このように消費税の増税は
theorem :
需要の増加による物価の上昇はナチュラルインフレーション(インフレ) と呼ばれる。
インフレは景気拡大をもたらす。
逆に、消費税や原料価格の上昇による物価の上昇はコストプッシュインフレーションと呼ばれる。
コストプッシュインフレーションは景気後退をもたらす。
コストプッシュインフレーションが生じると、市場から貨幣がなくなる。
しかし、これは企業が将来の物価上昇を見越して内部留保を増やすためである。
そしてこれはさらに、投資を抑制する。さらに景気は後退する。
(これが思考は実現するってやつですか。)
面白いもので、企業群が景気上昇を予測すると実際に景気は上昇する。 企業群が景気後退を予測すると実際に景気は後退する。
さて、これまでの日本では金利を下げ、税金を挙げてきた。
消費税を増税したので額面の物価は上昇しているが、労働力の価格は下がり、不景気となっている。金利が下がり、企業は借金をしやすくなったが、実際には不景気で先行きが不透明だったため、借金をしなかった。借金のハードルは下がったが不景気のため返済できると感じなかったからだ。
市場には使われない金が(中央銀行から払われる民間銀行への利子という形)溢れた。
日本の景気を考える上で、アメリカの景気は欠かせない。 そして日本とアメリカ、そして中国の歴史にはいくつか転換点がある。 経済はアメリカがリーダーであるため、特にアメリカの歴史を知ることは非常に重要である。
国の発信する情報はその力関係により影響力の優先順位がある。
5月1日、円/ドルが急上昇した。 この背景には第一金曜日に発表されるアメリカ雇用統計(FOMC)がある。 特にFOMCの非農業部門雇用者数の数字が市場の予想を下回ったのが原因である。 非農業部門雇用者が良いと円は売られる傾向にある。 また、アメリカの市場を考えるに最も注目しておくのが、非農業部門雇用者数、失業率、労働参加率がある。
また、高インフレの際に注目されるインフレ関連の指標として
米国ではおよそ7割のGDPが個人消費によって成り立っているため、特に